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鍋嵐北尾根(ゴジラの背尾根)

やまびこ大橋より望む鍋嵐

やまびこ大橋より望む鍋嵐

鍋嵐北尾根は、一名『ゴジラの背尾根』とも呼ばれます。本家とは比較になりませんが、決して安易に計画できるルートではありません。

ヤマケイアルペンガイド「丹沢」に、このルートが紹介されています。しかし、15号橋に進んだ登山者たちが警察に連行されたという情報があります。

バス停 神奈中バス: 本厚木駅 → やまびこ大橋 登山口
バス停 神奈中バス: 本厚木駅 ← 上煤ヶ谷 登山口

地図 地理院地図: 鍋嵐

天気 鍋嵐の天気: 清川村 , 土山峠 , 宮ヶ瀬

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コース & タイム 鉄道駅 本厚木駅 6:55 バス停== 7:42 やまびこ大橋 7:52 --- 8:48 北尾根取り付き 8:57 --- 10:21 677m峰 10:30 --- 11:34 Jピーク 11:36 --- 12:02 鍋嵐 12:16 --- 13:16 石の祠のある三叉路 13:16 --- 13:28 物見峠 13:37 --- 13:46 唐沢隧道 13:49 --- 14:57 上煤ヶ谷バス停 15:04バス停 == 15:41 本厚木駅 鉄道駅
※歩行時間には、道草と写真撮影の時間が含まれています。
鍋嵐 なべわらし:標高 817m 単独 2016.2.11 全 7時間05分 満足度:❀❀❀ ホネオレ度:❢❢

2月11日(木)、建国記念の日は、穏やかな快晴。いつか歩きたいと思いながらも自粛していた、鍋嵐北尾根を登りました。ほどよく締まった雪が北尾根上部の急斜面を覆い、Jピークから鍋嵐山頂にかけて、渾身のキックステップで登り切ることができました。

段落見出し やまびこ大橋から歩く

宮ヶ瀬行き6時55分発の初バスは、発車の15分ほど前にやって来ました。旗日なので日の丸の小旗をつけています。土山峠で1人が下車、仏果山登山口は通過。私は自由乗降を利用し、やまびこ大橋の直前で降ろしてもらいました。この橋を歩きながら、宮ヶ瀬尾根や鍋嵐北尾根をじっくりと眺めるためです。

やまびこ大橋をゆっくりと歩きながら、四方の眺めを堪能しました。青い空と青い水と青い山。特にこれから登る鍋嵐北尾根の、恐竜のようにくねくねと曲がった尾根がカッコよく、何度も立ち止まって見入りました。でもゴジラというよりは、大型草食恐竜のイメージに近いと思います。橋の上の気温表示は、マイナス1℃。風のない、おだやかな冬晴れです。

三叉路から県道70号に入ります。湖岸の道から眺める景色は美しいのですが、宮ヶ瀬湖は人造湖です。湖底に沈んだ家々や、庭や畑や小道など、失われた風景も多いはず。かつての生活道路に通じていたと思われる坂道が、白いガードレールを伴って水中に没し、一見不思議な時空間をあちこちに残しています。湖畔のアブラチャンやフサザクラのつぼみは未だ膨らまず、春の忍び寄りを思わせるのは、紅白梅と杉の花くらいでしょうか。

段落見出し 鍋嵐北尾根に取り付く

やまびこ大橋から歩くことおよそ1時間、鍋嵐北尾根の切通しにやって来ました。清川トンネルへ通じる林道を開くため、恐竜の尻尾をスパッと切ってあります。その断面は階段ピラミッドのような三角形。大鉈で3回ほど叩いて切断したかのような印象を受けました。

1年前、清川トンネルに向かった時に目星をつけておいた地点から作業道に入りました。しっかりした土止め階段があります。3分ほどで楽々と尾根に乗りました。尾根上に三本立ちのヤマザクラ(?)があるので、下りの場合はこの木を目印に、左に下りるといいでしょう。

尾根には、わずかながら雪が残っていました。標高の高いところではかなりの積雪のあることが予想されます。道や道標はありませんが、1本の尾根を上へ上へと辿るだけなので、迷いはありません。不思議なのは、振り返るたびに尾根がすぐ下で無くなっているように見えることでした。まだ、そんなに急傾斜と言うほどではありません。

段落見出し 677m峰で英気を補給

少しずつ、積雪が多くなりました。雪上に動物の足跡がたくさんあります。特に多かったのがシカの蹄の跡で、新しいものがくっきりと残っていました。注意すべきはクマとイノシシです。クマのものと思われる大きな足跡もありましたが、古かったので、近くにはいないだろうと思いました。ヤセ尾根が多いので、転倒や滑落への警戒と合わせ、きょうはセーフティモードに徹し、足下と遠方をよく見ながら慎重に登ります。短いコースなので、時間はたっぷりとあります。

ある程度登ると、樹木の枝越しに景色が透けて見えるようになりました。右手には丹沢三峰と栂立尾根ほか、左手には宮ヶ瀬尾根と仏果山ほか、後方には宮ヶ瀬湖と赤や白の橋です。ただ眺める分にはよいのですが、樹木の切れ目がなく、梢がじゃまになって、最後までよい撮影ポイントは見つかりませんでした。

677m峰で小休止にしました。あまり展望は利きません。水源協定林の看板が立っていて、宮ヶ瀬地区や煤ヶ谷地区の字名が記されています。瀬ノ沢、枝尾、堀切、鍋嵐、猿島など。赤いマル印は現在地だと思いますが、四捨八曲りとなっています。四捨とは何で、八曲りとは何か、由来を知れば面白そうです。677m峰には座れるところがなくて、立ったまま紅茶と菓子パンで英気とエネルギーを補給しました。

段落見出し 佳境は山頂直下に

677m峰から少し下って、また登り始めた頃、行く手遠方にクマの親子みたいな影が見えました。私は瞬時に警戒モードに移行、慎重に目を凝らすと、全く動かないので、どうも動物ではないようです。近づいてみると、2本の倒木でした。替わって、小さなリスが出てきて、しばらく先導してくれました。タイワンリスよりもずっと小型で可愛らしいリスです。

ヤセ尾根の一部で、深く落ち込んだ美しい雪の谷がありました。これを見下ろした瞬間、脳に浮かんだのが、「高梨沙羅」という名です。いえ、彼女に限らず、スキージャンプ選手の度胸には敬服します。その先、720mあたりの峰で、左(東)から尾根を合わせました。ここで右に折れ曲がります。そのすぐ先で、右手に丹沢主脈の素晴らしい展望が待っていました。深い青色の空には雲ひとつありません。今あの稜線を歩いている人々は、何を思っているでしょうか。

Jピーク(810m+)手前の鞍部に来ました。行く手の斜面の雪質を見て、念のため軽アイゼンを着けました。がっちり雪に食いつき、慎重に登って行きます。Jピークを越えると、小広い鞍部があり、束の間の安らぎを得ました。そして気合を入れ直し、胸突き八丁に取り付きます。急斜面の雪は、体重を乗せると崩れることもありました。靴が雪の固い層に届くまで、2回、3回と、深く蹴り込みます。岩角や木の根なども掴みながら、渾身の力で登り切りました。

段落見出し 鍋嵐東尾根のプチ名所あれこれ

急登の詰めで時間を費やしました。セーフティーモードながら、達成感があります。積雪期に下る場合は、ピッケルやロープが欲しくなるところでしょう。無雪期なら、ひたすら頑張るだけで突破できると思います。山頂は狭く、展望も乏しいのですが、再訪ゆえの懐かしさを感じました。登ってしまえば、その名に反し、ひっそり穏やかな山。雪の下には、頭の丸い岩がいくつか、静かに埋もれているはずです。

山頂でまた立ったまま、紅茶と菓子パンで燃料を補給しました。これより物見峠を目指し、鍋嵐東尾根を進みます。下り始めに出会うのは「おむすび岩」:緑色の苔(のり)が巻いてあります。次はヤセ尾根に立ちはだかる「抱っこマツ」と「抱っこモミ」:三つとも先回、私が勝手に名付けたものです。719m峰には巻き道もありますが、山頂を表敬訪問しました。ここは「迷所」ですが、北のハタチガ沢方向にあった各種の目印は、すっかり片づけられたようです。

宮ヶ瀬尾根の起点である堤川山(740m+)に立つ赤帽白杭への落書きは、「能ノ爪」だけになっていました。「熊ノ瓜」と「熊ノ爪」は誰かが消したのでしょう。ここは名称を巡って「能」と「熊」がせめぎ合うという意味で「名所」です。最後に、ここから5分ほど東、まっとうな名所があります。東面が大きく開け、女性的な曲線の辺室山、きりっと立つ峰々を連ねた相州アルプス、その彼方に首都圏の市街地など、きれいに望めました。

段落見出し 唐沢林道スタコラ

石の祠のある三叉路で右折し、物見峠に向かいます。大山と三峰山には、午後の“後光”が差していました。途上で出会うヤブツバキの赤い花は、冬山のアクセント。ここの道標には、物見峠まで0.1Kmとありますが、とても長い100mです。休憩を楽しみにしてきた物見峠のテーブルベンチには、雪が山盛り。しかたなく、またまた立ったままで紅茶を飲みました。この下にトンネルがあり、林道が通っているとは、ちょっと意外な感じがします。

物見峠から一旦三峰山方向に登り、すぐ右に下ります。小刻みに付けられたやや長い階段を経て、唐沢林道に下り立ちました。唐沢隧道の西口です。トンネルに照明はありませんが、出口が見えているので、普通に歩けます。長さは目分量で約150m。トンネルを抜けると、そこはアスファルト舗装の立派な道でした。トンネルの西側は、雪いっぱいの冬景色だったのに、東側は雪解けがほとんど終わって、もう春が来たようでした。

唐沢林道は傾斜が緩く、なかなか高度が下がりません。でも展望はなかなかのもの。舗装の状態がよいので、風景や空を眺めながら、スタコラ歩けます。地図上では長そうに思えましたが、飽きませんでした。最後にゲートを越すと、すぐ県道64号です。バスの自由乗降区間なので、どこで待ってもよいのですが、時間があったので上煤ヶ谷バス停まで歩きました。運転士用のトイレがあります。石の階段に腰を下ろし、髪を整えました。きょうも無事に下山できて感謝です。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



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