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小金沢連嶺、花の散歩道

湯ノ沢峠のお花畑

霧にけぶる、湯ノ沢峠のお花畑

小金沢連嶺は、標高2000m前後の峰々を南北に連ね、メルヘン的な草原には様々な花が見られます。首都圏から手軽に訪れることができ、その一部分を歩くだけでも縦走気分を味わうことができます。

バス停 栄和交通バス: 甲斐大和駅 → 石丸峠入口 登山口
バス停 甲州市市民バス: 甲斐大和駅 ← 天目山温泉 登山口

地図 地理院地図: 小金沢山

天気 小金沢連嶺の天気: 大菩薩嶺 , 山梨県甲州市

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コース & タイム 鉄道駅 甲斐大和駅 7:45 バス停== 8:20 石丸峠入口 8:26 --- 9:29 石丸峠 9:32 --- 9:46 天狗棚山 9:55 --- 10:12 狼平 10:17 --- 11:06 小金沢山 11:10 --- 11:50 牛奥ノ雁ヶ腹摺山 12:16 --- 12:58 水場分岐 13:05 --- 13:21 川胡桃沢ノ頭 13:23 --- 13:58 黒岳 14:05 --- 14:23 白谷ノ丸 14:28 --- 15:05 湯ノ沢峠 15:05 --- 15:12 お花畑 15:23 --- 15:28 湯ノ沢峠避難小屋 15:31 --- 16:14 焼山林道出合 16:14 --- 17:06 天目山温泉 17:13 バス停== 17:25 甲斐大和駅 鉄道駅
※歩行時間には道草と写真撮影の時間が大幅に含まれています。
小金沢山・牛奥ノ雁ヶ腹摺山 こがねさわやま:標高 2014m、うしおくのがんがはらすりやま:標高 1994m 
単独 2016年8月13日 全8時間40分
 満足度:❀❀❀ ホネオレ度:❢❢❢

8月13日(土)、甲斐駒を目指して北沢峠行きを予定していましたが、天気予報ではあまり晴天が期待できなかったので、曇天でもそれなりに楽しめる小金沢連嶺を歩いてきました。眺望は、近隣の雁ヶ腹摺山さえも見えないほど霧に隠されていましたが、晴れ間を待って臨んだ水場分岐(賽の河原)では、良いひと時を過ごしました。花はこの季節としてまずまず。ところが最後に、湯ノ沢登山口でクマの親子を目撃し、これが一番の思い出になりました。

区切りアイコン石丸峠入口からアプローチ

甲斐大和駅では、臨時バスが待っていました。皆さん、どんどん乗り込んで、満席で発車。石丸峠入口で7名が降り、トレイルランナーらしい人がすぐに出発しました。でも他の人々は、何だか身支度に時間を取っている様子。人がいなくなるのを待っているのかもしれないと思い、気を利かせて準備運動を切り上げ、登山道に取り付きました。笹の深い道はやや急登ですが、じきに林道に出るはずです。カラマツ越しに、微妙な空模様が窺えました。

ウォーミングアップのモードで、正味15分ほど歩いたら、林道に出ました。この先のカーブから、大菩薩湖を望みます。再び登山道に取り付き、右手の樹木が切れると、小金沢山が霧の中に薄く姿を現しました。きょうは、大した眺望は期待できそうにありません。登山道にはカイフウロやウメバチソウなどが咲いていましたが、特にコウリンカの数が多く、目の届く限りそのオレンジ色の花が点々と見られました。

きょうは、借りてきたカメラが手になじまず、花の撮影がピント、露出ともなかなかピタリと合いません。特に近接撮影でのピント合わせが、マクロモードでも難しく、自分の手を花と同じ位置において、それにピントを合わせました。露出は花の撮影のほとんどすべてでオーバーになったので、帰宅後に明度を補正したら、背景が真っ暗になったものもあります。また、途中から着いたレンズ表面の汚れに気づかず、撮影画像の一部分がぼやけてしまいました。

区切りアイコン石丸峠からルンルン散歩道

右手に石丸峠が見えてくると、楽しい稜線漫歩の始まりです。残念ながら遠望は利きません。濃い霧が東面から吹き上がっていましたが、時々霧が切れる瞬間もありました。石丸峠に立ち、振り返れば熊沢山、行く手には天狗棚山、その先に小金沢山、牛奥ノ雁ヶ腹摺山と、標高2000m前後の峰々が連なります。濃霧と関係があるのか、小鳥やセミの声は聞かれず、とても静かな高原の趣になっていました。登山シャツ1枚着ているだけで、暑くも寒くもなく快適です。

天狗棚山(1957m)には山頂標こそありませんが、すてきな眺望があり、私のお気に入りのピークです。特に小金沢山手前の狼平(おおかみだいら)は、ヤギや羊が草を食んでいても似合いそうな緑の草原ですが、昔は狼がいたのでしょうか。空気が澄んでいれば、富士山、南アルプス、奥秩父などが望める場所ですが、今日は眼下の大菩薩湖を眺めて満足することにします。天狗棚山の岩に腰を下ろし、天狗の気分でのんびりお茶と菓子の時間にしました。

さて、せっかく小金沢連嶺に来て、急いで走り抜けてはもったいない。きょうは好きな場所で好きなだけ道草を食い、湯ノ沢峠のお花畑まで悠々と歩く計画です。天狗棚山から狼平へと下って行く道では、ハナイカリとシモツケソウがたくさん見られました。白くてまん丸なつぼみは、きっとウメバチソウでしょう。よし、今日は20種以上、できれば30種以上の花を撮ろう。そう思ってから、撮影した種の数を数えて行きました。

区切りアイコン主峰、小金沢山と牛奥ノ雁ヶ腹摺山

狼平に、ダケカンバの一本立ちがあります。暑い日にはその木陰が小さなオアシスになるでしょう。辺りは一面の笹原で、いく筋もの踏み跡があります。適当に歩いたら、ヘビがいました。足下がよく見えなくて、毒蛇を踏むと危険なので、なるべく登山道の本線を歩きましょう。狼平を抜けると、樹林帯の登りになります。南下するコース取りの場合、涼しい樹林を登って、明るい草地を下ることが多くなり、好都合です。この日も、北上する人とは出合いませんでした。

小金沢山はこの連嶺の主峰で、その名は黄金(こがね)に因むようです。ただ黄金ではあからさま過ぎるので、小金でよかったのでしょう。ところが、かつては現在の黒岳を小金沢山と呼び、その山頂の一等三角点の名称は、今でも変わることなく「小金沢山」です。現在の小金沢山には三等三角点がありますが、眺望では黒岳に大きく勝ります。とはいえ、それは今日のこと、50年後は逆転しているかも知れません。

濃霧で展望のなかった小金沢山頂では、立ったままお茶だけ飲んで、牛奥ノ雁ヶ腹摺山に向かいました。すてきな道は、歩いても短く感じられます。緑の笹原があり、針葉・広葉の混交林があり、樹下には束の間の木漏れ日に光る苔、バイケイソウの緑の花。あっという間に牛奥ノ雁ヶ腹摺山に到着しました。ここはマルバダケブキのお花畑があります。晴れれば色鮮やかなヒョウモンチョウが群れる花ですが、きょう見るのはジャノメチョウかヒカゲチョウばかりでした。

区切りアイコン標識が消えた、水場分岐

牛奥ノ雁ヶ腹摺山から、油断して何も考えずに下って行きました。すると立ち枯れの林が現れ、左手に山なみが見えました。雁ヶ腹摺山はどこかな? あれ、ないではないか! 思わず天を見上げると、太陽は左にありました。しまった、西に進んでいる! これは日川林道に降りる道です。でも早く気づいてよかった。牛奥ノ雁ヶ腹摺山山頂に戻ると、黒岳を指す道標がありました。これを見落として、約12分のタイムロス。霧の濃い日は気を付けねばと、自戒します。

川胡桃沢ノ頭を真正面に望む場所にやって来ました。小金沢連嶺中では、雄大な眺望と言えるでしょう。眼下の鞍部は、楽園のような場所ですが、何故か「賽の河原」と呼ばれます。ところが足下の花を撮影しているうちに、前方が霧に覆われて見えなくなってしまいました。ここはぜひとも撮影したいビューポイント。私は腰を下ろして、霧の晴れるのを待つことにしました。

20分以上待ちましたが、霧は晴れませんでした。あきらめて鞍部に下ります。すると、下りきったところで折よく霧が切れました。わずかながら青空も見えます。ラッキー! ここから牛奥ノ雁ヶ腹摺山を振り返り見るのは、きょうの最大の楽しみの一つでした。カメラを構えて、何度もシャッターを切ります。ところで、この鞍部に立つ道標の、「水場」と書かれた西を指す腕木がなくなっていました。水場が涸れたのでしょうか?

区切りアイコン黒岳と白谷ノ丸へ

牛奥ノ雁ヶ腹摺山に別れを告げ、南へと樹林帯を登ります。暗がりで緑の花を咲かせたバイケイソウなどを見ながら15分ほど登ると、川胡桃沢ノ頭に至りました。残念ながら、樹木と霧とで展望はありません。引き続き黒岳に進みますが、深い霧に包まれ、眺望も花もなく、足が重くなりました。「牛奥ノ鴈ヶ腹摺山」を指す大月市の道標をチラリと見ます。この「鴈」という字は、大月市の山に登る以前は知りませんでした。雁も腹が重くなることがあるのでしょうか。

大峠分岐を過ぎると、すぐに黒岳山頂でした。樹木に囲まれて展望のない頂ですが、一等三角点があり、かつては展望の利く峰だったのでしょう。誰もいない山頂で、まだ十分に冷たいお茶を飲みました。きょう登り始めてから、まだ300mℓほどしか水分を摂っていません。あまりのどが渇いていなかったのですが、ここで多めにお茶を飲みました。きょう最後の峰、白谷ノ丸に向かいます。

白谷ノ丸は黒岳と対を成す山で、露岩と白砂のザレが特徴的です。折しも山頂に飛び出す直前に強い光が差し込んできて、登壇するような気分でドラマチックに登頂しました。相変わらず周囲は濃霧が立ち込めていますが、山頂だけが明るく照らされています。白谷ノ丸の山頂標を見て、「しらやのまる」と読むことを初めて知りました。日本山名事典にも、その名が書いてあるそうです。ここでもコウリンカが繁栄し、オレンジ色の花にジャノメチョウが吸蜜していました。

区切りアイコン湯ノ沢峠のお花畑

山頂に霧が立ち込めて来るとともに、下山の途に就きました。ここで湯ノ沢峠のお花畑、大蔵高丸、ハマイバ丸 ... と続く連嶺を眺めながら下れば気分がよいのですが、あいにく霧が濃くて何も見えません。大小の露岩帯を過ぎると、スズタケの根の露出したスリップ地獄。この最後の難関(?)を抜けると、湯ノ沢峠の十字路に下り立ちました。何人か、人の声が聞こえます。登山者でない人々もいました。「こんにちは」とだけ言って、そのままお花畑に向かいます。

お花畑にも、これまでに見たのと同じ花が咲いていました。山野草の花だけが目的なら、湯ノ沢峠のお花畑で十分に満足できるかも知れません。意外にも濃霧のお花畑はすてきな風景で、しばらく見とれていました(上の写真)。ここから大蔵高丸が近いのですが、全く見えません。お花畑の名標の前でUターンしました。満たされた気分で湯ノ沢峠に戻ります。

避難小屋前では、あるパーティーが鍋料理を煮ていました。私は泊まりませんが、好奇心で小屋の中を覗いてみます。思った通りすでに満室で、いくつかの段ボール箱や玉子パックなどもありました。ついでに駐車場の奥のバイオトイレも覗いてみます。微生物を使うため、男性の小用に関する指示が書いてありました。きょうはあちこちでのんびり道草を食いましたが、すでに午後3時半、バスの時間を考えて、焼山沢沿いの登山道を下ります。

区切りアイコンあ、クマ!

登山道の終点から、幅広の砂利道になりました。あ、クマだ、クマがいる! 30mほど左前方に、真黒なツキノワグマがいました。野生のクマの実物を見るのは初めてです。クマは私に気が付いていません。クマは焼山沢の左岸にいて、私は右岸にいます。静かにカメラを構えて撮影しました。クマは全部で2頭か3頭いるようです。母子熊でしょう。そのうち母熊が私に気づき、目と目が合いました。その瞬間、回れ右をして斜面を登って逃げて行きました。

焼山林道の下りは、地図では長いようですが、うんざりする道ではありません。地球の重力に任せて足を出し、スタコラサッサと快足で下ります。確か、途中でキイチゴを食べられるはずだと記憶していましたが、2か所にありました。食べごろの実は少なかったのですが、大きい実のキイチゴは美味しく食べられました。別種の小さいキイチゴは酸っぱくて、お奨めではありません。林道わきには、キツリフネ、ツリフネソウ、季節外れのヤマブキなどが咲いていました。

バスが来るまで7分を残し、やまと天目山温泉にゴールインしました。今回もまた無事に下山できて感謝です。その後、電車との接続もよく、順調に帰宅できました。いろいろな魅力のある小金沢連嶺は、また季節を変えて歩きたいと思います。牛奥ノ雁ヶ腹摺山から間違えて下り始めた道は、サブルートとして使えるかも知れません。実際に下りて行く人がいました。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



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