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村道10号橋から宮ヶ瀬尾根

宮ヶ瀬尾根 617m峰

宮ヶ瀬尾根 617m峰

宮ヶ瀬湖岸の村道10号橋を陸路で訪れるには、山を歩かねばなりません。この不思議な孤立橋は、清川トンネルと同様、地理院地図に示されていません。

宮ヶ瀬尾根 617m峰には、三等三角点と天然のベンチがあります。三角点石の上にカメラを置くと、セルフタイマー撮影ができます。

バス停 神奈中バス: 本厚木駅 ⇔ 土山峠 登山口

地図 地理院地図: 617m峰 , 10号橋

天気 宮ヶ瀬尾根の天気: 清川村 , 土山峠 , 宮ヶ瀬

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コース & タイム 鉄道駅 本厚木駅 7:50 バス停== 8:33 土山峠バス停 8:40 --- 8:57 村道終点 9:07 --- 9:18 きれいな入り江 9:25 --- 10:44 10号橋 11:18 --- 11:59 宮ヶ瀬尾根出合 11:59 --- 12:16 525m峰 12:16--- 12:48 617m峰 13:08 --- 13:44 大岩のピーク 13:50 --- 14:06 十字路(597m) 14:07 --- 14:25 堤川林道終点 14:25 --- 14:52 土山峠バス停 15:00 バス停 == 15:55 本厚木駅 鉄道駅
※歩行時間には、道草と道探しと写真撮影の時間が含まれています。
宮ヶ瀬尾根 みやがせおね:半島部最高峰 617.2m 単独 2016.1.10 全 6時間12分 満足度:❀❀❀ ホネオレ度:❢❢

1月10日(日)、宮ヶ瀬湖畔の清川村道10号橋をプチ探検しました。これが第一部。続いて宮ヶ瀬尾根に乗り、617m峰で記念撮影をして堤川林道に降りました。これが第二部。最後に飯山温泉で体を温め、二種のコロッケを食べて、新年のプチ探検三部作とするつもりでしたが…。

段落見出し 土山峠から湖岸の清川村道へ

前夜、目覚まし時計の時刻設定を間違え、1時間遅く起きました。目覚めて壁時計を見た時、「しまった!」と思いましたが、ぐっすり眠れたので「まあ、いいか」と身支度をしました。宮ヶ瀬行きのバスは、1時間ごとにあります。本厚木駅で乗ったバスは、発車時刻ぎりぎりに乗り込んだ人たちも含め、立つ人がかなりいました。乗客の多くが意外にも土山峠で下りたのに、坐禅石に向かったのは私だけ。大きな坐禅石前の広場で、入念に準備運動をしました。

その広場には車が3両ほどありました。一般車は入れない場所です。見ると、6人の若そうな人々が猟銃を担いで出陣するところでした。女性も2人いますが、犬はいません。男性の一人から「おはようございます。きょうは辺室ですか?」と尋ねられました。「お早うございます。宮ヶ瀬尾根に行きます。」すると「じゃあ、あちら側ですね。」と言われたので、「大丈夫ですか?」と私。「大丈夫です!」と彼。このグループは、辺室山の登山口に向かいました。

準備運動を終えると、さっそく宮ヶ瀬尾根半島(=本記事での仮称)東北岸の村道、土山高畑線に進みます。橋を順番に数えて行きました。銘板はありませんが、土山峠から、1号橋、2号橋、…と一般に呼ばれています。ただし、着工していない橋もあるので、どの橋が何号橋か、決め手に欠きます。きょう目指す橋は、探検家たちから10号橋と呼ばれることが多いので私もそれに倣いますが、現存する橋では8番目なので、8号橋かもしれません。いずれにせよ仮称です。

段落見出し 美しい入り江

7号橋を渡ると、立派な道標がありました。二つの腕木があり、土山峠と県道70号線を指しています。後者は山越えルートで、半島の向こう側で県道70号に接続しますが、その接続点はゲートで閉ざされています。村道が開通するためには、まだいくつかの橋を建設しなければならず、巨額の予算が必要でしょう。その日が来るまで、7号橋から清川トンネル北端までの区間をつなぐのは、山道しかありません。

村道は、7号橋のすぐ先で終わっていました。その先がどうなっているか、行って見たのですが、5分も行かぬうちに、歩いて行けない入り江のあることが分かりました。7号橋の道標まで戻ります。山道に進み、少し登ると道が水平になり、その入り江を高巻くことができました。この辺の道は歩きやすく整備されているようです。次の大きめの入り江に向かって下る部分では、鉄パイプの手すりがありました。こちらは青緑色の水の澄んだ、きれいな入り江です。

きれいな入り江の最奥部まで行ってみると、宮ヶ瀬湖対岸に緑色の半月橋が架かり、その向こうに仏果山の稜線が見えました。この入り江の左右は山が壁のように突き出て、奥まった隠れ家のような感じがあります。目障りなゴミや倒木もありません。入り江の奥の小沢からは清流が流れ込み、少人数でピクニックをするには素敵な入り江です。ただ、人にあまり知られない方が、きれいなままでいられるかも知れません。

段落見出し 鹿柵という迷路

10号橋に向かいます。きれいな入り江の左岸に、がっちりした鉄パイプの桟道がありました。歩きやすい道が次の尾根へと続いています。難なくその尾根に乗ると、先ほどのきれいな入り江を振り返りました。その水の青いこと、自然の神秘というものでしょう。日差しはぽかぽか。まるで遊歩道かハイキング道のような尾根道を登って行きます。訪問者を歓迎するかのように立つ3本のモミ。10号橋へ至るのは楽勝かな、と甘い考えもチラつきました。

今歩いている尾根を登り続ければ、丸い饅頭のような430m峰を経て、宮ヶ瀬尾根の525m峰に至ります。行く手にその430m峰が見えてくると、地図には表れない右手の小ピーク(約410m)の巻き道が、両峰の鞍部へと続いていました。その鞍部まで歩いてもいいのですが、近道をして右手の小ピークに登ります。この小ピーク上を鹿柵(植生保護柵)が通過していました。柵を跨ぐ橙色の脚立が立ててあります。

10号橋へは、この小ピークから北に延びる尾根を降りる計画です。ところが尾根すじの真ん中を鹿柵が走っているので、その右側か、左側か、どちらを歩けばよいのか分かりません。でもがっちり固定された脚立があるのだし、柵の下部には人の通れそうな破れ目もあるので、柵の向こう側に可能性がありそうです。脚立に上り、柵を越えました。これで、鹿柵の左側を下ることになります。実際に下って行くと、鹿柵を越えられる破損箇所が途中に2か所ありました。

段落見出し 10号橋へ

ずっと鹿柵の左側を下り続けたら、柵が左に分岐し、柵に沿って左の谷に降りざるを得なくなりました。果たしてこの谷から10号橋に行けるだろうか?心配です。谷底の沢まで下りると、左岸に倒れた古い脚立と、薄い踏み跡のようなものがありました。本当に踏み跡なのか判りませんが、左岸尾根の中腹をトラバースできそうに見えます。右岸に歩けそうな経路はありません。沢を下ることは危険が伴うし、仮に下まで行けても橋にどのように上がれるか分かりません。

よし、左岸をトラバースしよう!ただし滑落したらただでは済まないので、慎重に木の根や土にホールドを求めながら進んで行きました。足元は落ち葉で滑りやすくなっています。途中から踏み跡も、無いのと同じ状態に…。残念ながら、あと少しというところで、いよいよ安全確保が難しくなりました。左の尾根に上がれないかな?と登れそうなルートを目で追います。そして最も安全そうな経路を決めて、四駆(両手両足)モードで慎重に斜面を登って行きました。

登り切ると、右手に10号橋が見えました。ところがその尾根は、高い擁壁でぷっつりと切断! 右か左に降りなくてはなりません。検分した結果、左側にほどよく立ち木が配置されていたので、ほとんど困難なく下りることができました。下り立ったところは、一応村道のようです。右に10号橋がありました。きょうの最初の目的地です。

段落見出し 10号橋と広場と公園

10号橋を渡ると、村道は一旦終わりです。「終点」と書かれた小さな杭の写真をWEBで見たことがありますが、探してもここでは見つかりませんでした。誰かが記念に持ち帰ったのかもしれません。橋の先は尾根で遮られていますが、この尾根を下ってくれば、もっと楽に来れたのではないかと思います。そのためには、430m峰の北尾根を、途中からでも鹿柵の右側沿いに下らねばなりません。もしまた来ることがあれば、そうしようと思います。

10号橋は高い橋脚を持つ、本格的な橋です。宮ヶ瀬湖の湛水前に造ったのでしょう。竣工後、車両がまだ通ったことのない橋。この橋の上で昼を食べ、お茶を飲むのを楽しみにして来ました。宮ヶ瀬湖の対岸には、仏果山登山口が見えます。宮ヶ瀬方面から神奈中バスがやって来て、止まりました。乗客の誰かがこちらを見ているかもしれません。私が見えるでしょうか?見えても、ただの橋に、人がいるだけだと思われるかもしれませんが。

10号橋の北西側には広場があります。橋の工事用の資材置き場だったのかも知れません。広場から右手の突端にかけて、公園のような平地があります。わくわくしながら突端まで行くと、やまびこ大橋をはじめ、県道64号の通るいくつもの橋を見渡せました。そして何と言っても湖水の色がきれいです。山の緑と空の青を同時に映しているような、神秘の色。きょうのプチ探検第一部は、心をひたひたと満たすものでした。

段落見出し 宮ヶ瀬尾根525m峰へ

さて、どの支尾根を登って宮ヶ瀬尾根に乗ろうかと思案しました。下りてきた支尾根はもうご免だし、410m峰北尾根も鹿柵が長くて気が進みません。広場に面する入り江の奥の小沢に行ってみると、その左岸の尾根は日当たりがよく、歩けば気持ちがよさそうに思えました。もちろん、大した根拠はありません。小沢から出てきたミソサザイに導かれて、登りやすそうな取り付きを見つけ、適当に登ってその左岸尾根に立ちました。

実際、とても雰囲気の好い尾根でした。木に赤テープも見られます。9分ほど登ると、尾根を横断する作業道があり、右は通せんぼでしたが、左は何かありそうな感じがしたので入ってみました。眺めの良い場所がありましたが、しばらく進むと先ほどミソサザイが飛び出してきた沢に下って行きます。引き返して正直に上を目指しました。すると程なく見覚えのある作業道に出て、一息で昨年3月に歩いた宮ヶ瀬尾根に立つことができました。

「神奈川県『水源の森林づくり』契約地」の看板から5分ほど登ると、尾根幅が広がり、日当たりのよいところに来ました。大部分が狭くて歩きにくい宮ヶ瀬尾根ですが、この辺りだけは気持ちよく歩けます。左手下方に目を凝らすと10号橋が見えましたが、先回歩いた時は気づきませんでした。目の前の525m峰から430m峰のある北東の方向に、落ちて行く尾根の急峻さがよく分かります。そして、独特な標識の立つ525m峰に到着しました。

段落見出し 宮ヶ瀬尾根617m峰へ

525m峰に立つ標識は、普通の道標と同じ姿ですが、左右の腕木は、土山峠と清川トンネルの「方角」を指しています。ある地点から、とりあえずどちらに向かうのが正しい道であるかを教えてくれるのが普通の道標で、指導標とも言いますが、それとは異なります。都会の公園に、ニューヨーク、モスクワ、ヨハネスブルクなどの方角を指す標識を立てるようなものですが、525m峰の標識は未来の村道への思い入れが発露したモニュメントなのかも知れません。

少し先に、動物の黒い糞がありました。量の多さと形から見て、クマのものでしょうか。ヤセ尾根に入ると、右手が開け、丹沢表尾根から焼山までを雄大に望めます。宮ヶ瀬尾根では貴重な展望地ですが、足場は良くありません。ヤセ尾根の所々に、一本松や株立ちの樹木などが立ちはだかりますが、いずれも右か左を安全に巻くことができます。617m峰直下の偽ピークの手前、宮ヶ瀬方面に展望があるのを思い出し、ここで立ち止まって一息つきました。

10号橋を発ってから、道草を食いながら1時間30分、ようやく617m峰に到着しました。きょう第二の目的地です。さっそく“天然のベンチ”に腰を下ろしました。これは生きた木です。山頂の真ん中にある三角点石の上にデジカメを置いて、セルフタイマー撮影をしました。遠くの丹沢に露出を合わせたのが、上の写真です。風があって、立ち止まるとやや寒かったので、陽だまりに行ってお茶とお菓子の時間にしました。

段落見出し 下山

617m峰から大岩のピーク(推定600m+)まで続く狭い尾根には、壊れた鹿柵の有刺鉄線が地表に延々とあって、うっかり踏まないよう気を使いました。取り残された鉄線が、立ち木に食い込み、今は幹を貫通しているように見えます。こうなるまでにどれほどの歳月が流れたのでしょうか。

樹木の繁みがわずかに切れる地点を通過したとき、携帯にメールが着信しました。それは親しい山の友からのもので、二人の共通の山友の奥様が、その日の朝逝去されたということでした。彼と彼女と、メールを送ってくれた彼と私とは何度も山に同行したことがあります。二人の写真を撮るときは、いつも手と手を合わせてハートを作る、仲良し夫婦でした。

597m峰付近で左折し、堤川林道へと下ります。植林の斜面に明瞭なジグザグ道がありました。土に軽い弾力があって歩きやすく、宮ヶ瀬尾根を歩いて来た後では、ハイウェイみたいです。スタコラサッサと駆け下り、2回鹿柵をくぐると、堤川林道の終点に下り立ちました。林道では、はじめゆっくり歩きましたが、途中でスロージョギングに切り替え、土山峠にはバスの予定時刻の5分前に到着しました。プチ探検第二部は終わりましたが、別の意味で胸がいっぱいになっていました。

段落見出し 第三部は繰り越し

本厚木駅行きバスは、約5分遅れでやって来ました。乗り込むと、すでに多くのハイカーが乗っていましたが、空いた座席も少しありました。私は飯山観音前で途中下車するつもりだったのですが、バスはどんどん客を乗せ、飯山観音前では満員に近くなりました。日帰り入浴は1時間です。風呂を浴びて1時間後のバスに乗れば、立ちっぱなしになるでしょう。プチ探検第三部は、次回に繰り越しとしました。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



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