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大山ミニアドベンチャー

ネクタイの結ばれた尾根を下る

大山ネクタイ尾根

大山には、東西南北の各尾根から登山道が通じています。登山者の趣向によって、登山路と下山路をさまざまに組み合わせることができます。

多くの人々に歩かれるのは、表参道、雷ノ峰尾根、九十九曲、イタツミ尾根などです。他方、歩く人の少ないのは、諸戸尾根、北尾根とその支尾根、大山—三峰縦走路の支尾根などです。

バス停 神奈中バス: 秦野駅 → ヤビツ峠(終点)登山口
バス停 神奈中バス: 本厚木駅 ← 広沢寺温泉入口 登山口

地図 地理院地図: 大山

天気 大山の天気: 神奈川県伊勢原市 , ヤビツ峠

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コース & タイム 鉄道駅 秦野駅 8:18 バス停== 8:58 ヤビツ峠 8:59--- 9:22 門戸口 9:25 --- 9:38 諸戸山林事務所 9:38 --- 9:43 諸戸尾根取り付き 9:48 --- 10:05 主尾根 10:05 --- 11:27 大山 11:48 --- 12:05 モノレール切り替え点 12:05 --- 13:05 石尊沢堰堤 13:18 --- 13:29 唐沢峠 13:41 --- 13:57 梅ノ木尾根入口 13:57 --- 14:45 滝の上 14:45 --- 15:00 引き返し点 15:00 --- 15:53 梅ノ木尾根入口 15:53 --- 16:10 唐沢峠 16:20 --- 16:26 不動尻下山口 16:26 --- 17:24 不動尻キャンプ場跡 17:24 --- 17:39 不動尻 17:39 --- 18:50 広沢寺温泉入口 バス停 19:26 == 19:58 本厚木駅 鉄道駅
※歩行時間には小休止と写真撮影の時間が含まれています。
大山 おおやま:標高 1252m  単独  2012年4月25日 全9時間51分  満足度:❀❀❀  ホネオレ度:❢❢❢

4月25日、大山のちょっとマイナーな尾根に行ってきました。諸戸尾根、北尾根、ネクタイ尾根、梅ノ木尾根をつないで歩こうというものです。このうち北尾根以外は初めて歩くコースなのですが、果たして無事に走破できるでしょうか。

段落見出し カンスコロバシ沢へ

長めのコースなので、早朝に出発したいところです。でも体力も節約したいので、ヤビツ峠行きバスを利用しました。午前中に1本しかないバスはほぼ満員で発車し、途中で乗り降りする人もほとんどなく、午前8時58分、ヤビツ峠に到着しました。私はバスの中でずっと立っていたので、悪くなった姿勢を直すために、思いっきりストレッチ体操をします。

駐車場の脇から門戸口に通じる道に入ったのは、私だけでした。谷間のマメザクラが満開です。私はこの素朴な桜が好きです。足下にはスミレもいくつか咲いていました。

門戸口から札掛方面に向かって、県道を下ります。下るのはもったいないような気もしますが、バスが高くまで登り過ぎたのだと考えることにしました。道は舗装工事中で、まだ固めてない区間を歩くと、土がふわふわしています。ミツマタの花も満開で、けっこう賑やかです。諸戸山林事務所の手前、山側にはミツマタの大きな群落があり、黄色と白の花が尾根と谷を埋め尽くしていました。

諸戸山林事務所の前を通って諸戸神社の鳥居をくぐります。こじんまりとした神社ですが、荒れてはいません。社の裏側を流れるカンスコロバシ沢という面白い名の沢に出て、そのまま左岸を登って行きます。沢沿いに3分ほど歩いたら、送電鉄塔、12号と13号の分岐点に至りました。ここから大山諸戸尾根登山道に取り付きます。

段落見出し 諸戸尾根から大山山頂へ

このあたりは鬱蒼とした檜の林で、しかも西斜面なので午前中は暗い感じがします。まず、登りに使う筋肉のウォーミングアップができるまで、ゆっくりと登って行きます。急登なので、カンスコロバシ沢がみるみる下に下がって行きます。17分ほど登ったところで、主尾根に至りました。立ち木に3色のテープと「諸戸」を指す案内板があります。下山する人のために役立つことでしょう。

さて、これからは、ひたすら尾根の上を登るばかりです。檜林が終わって広葉樹林帯に入ると、少し展望が開けてきました。残念ながら霧が立ち込めていて、遠望は利きません。小鳥たちが縄張りを宣言しているのか、澄んだ歌声が静かな尾根によく響いてきます。

霧のため先が見えませんでしたが、山頂方面から大きな工事音が聞こえてきます。カタカタカタと、何か重機が動いているようです。登って行くに連れ、その音が次第に大きくなって行き、やがて鹿柵が見えてきました。見当をつけて右手に回り込むと柵に扉があり、これを通過すると、表参道の鳥居と、そこを歩く登山者たちが見えました。私は表参道には行かず、左手の木道を登ります。山頂の大きな電波塔が濃霧の中に立っていました。

晴れていれば山頂の展望台から富士山と丹沢山塊を望めるのですが、この時は何も見えませんでした。展望台の隣では、横浜エフエムの設備を建設しています。大きな重機や資材をどのようにしてここまで運び上げたのでしょうか。早く工事が終了して静寂が戻ってきて欲しいものです。

奥の院に行きます。展望が全く利かないにもかかわらず、さすが、ここは大山山頂。いつものように大勢の人々で賑わっていました。私も霧を見つめながら昼食にします。ここまで誰にも出会いませんでしたが、この先も人と出会うことはないかもしれません。

段落見出し 大山北尾根からネクタイ尾根へ

さて、山頂のきれいなトイレを使わせていただき、電波塔のわきから北尾根に向かいます。その入口に、「熊出没注意」の注意書きがありました。あまり効果はないと思うのですが、念のために右足に熊鈴をつけます。熊鈴は、人がよく歩くルートでは、必要もないし音が邪魔になるだけなので、使うことはありません。

鹿柵を越えるための脚立に上ったら、工事現場が見えました。工事の無事と、ロープウェーのできないことを祈りながら、北に向かいます。起伏のほとんどない尾根を17分ほど歩いた頃、モノレールの切り替えポイントに到着。ここから右にカーブするモノレールに沿って進むと、すぐ右の立ち木にネクタイがつけてあり、ここがネクタイ尾根の入口だと分かりました。

このルートは、ひたすら忠実に尾根の上をたどるだけなので、迷うところはありません。したがって、ところどころにあるネクタイに、目印としての意義はなさそうです。ネクタイはどれも、だらりとぶら下がっていましたが、きちんと結んだらどうかな、と思いながらどんどん下りて行きました。

ミツバツツジのつぼみがふくらみ始めていました。1、2輪咲いている花もあります。もうすぐ山を美しく彩ることでしょう。紫のミツバツツジと白いマメザクラが折り重なって咲いている場所で、腰を下ろして休みました。あたりは相変わらず霧で、眺望はありません。この先、雨になるかもしれないような空模様です。

段落見出し 石尊沢から唐沢峠へ

さらに少し下ると、右手から爽やかに沢の流れが聞こえてきました。石尊沢(せきそんざわ)です。やがて登山路が大きく右に曲り、沢の左岸に至ると左に曲がって、そのまま沢沿いに下って行きます。ここまでずっと1本道です。右前方にコンクリートの堰堤が見えてくると、壊れた階段道があり、ここを通って河原に降り立ちました。粉ぬか雨がときどき頬に当たります。

唐沢峠への登路は、その対岸点にあると聞いていました。見ると、赤いテープと底を切り取ったペットボトルがぶら下がっています。小さなケルンもありました。河原から見上げると、唐沢峠までほんの一息のようです。緩やかなジグザグ道を登って行くと、ワスレナグサに似た青い花のヤマルリソウが咲いていました。

午後1時半、唐沢峠に到着。ここまで順調に来れました。ひっそりした峠の東屋で行動食のヨモギ餅とチョコレートをかじります。休憩所に「豊かな森の住民たち」と書かれた案内板がありました。アオゲラ、ヤマドリ、テン、カモシカなどと共に、ツキノワグマも描かれています。どうも人間はあまり来ていないようなので、足の熊鈴はそのままにしておきます。

段落見出し 間違った尾根を下る

さて、これより893m点(一名ヤクザ)を目指して少し登ります。ヤセ尾根や崩落地が所どころにあります。でも狭い道の左右に鎖が張ってあって、安心感を持って通行できます。ここは大山と三峰山を結ぶ道で、土休日ならそれなりの通行者がいると思われます。実際、ここで二人の男性と出会いました。交わす「こんにちは」の声に、嬉しさが感じられました。

893m点のすぐ先に、梅ノ木尾根への入口がありました。ロープが緩く張られています。きょうは、ここからほぼ東に伸びる尾根を経由して日向薬師に降りる計画です。ロープは張られているものの、誰でも楽に跨げますし、実際インターネットで検索しても多くの人が歩いているようです。私は甘く考えていました。

ロープを越して東に進むとすぐに、木に巻いた白いテープがあり、「左へ 大沢」と書かれていました。左に斜面沿いの道が分かれています。梅ノ木尾根に「大沢分岐」という場所があることは知っていましたが、こんなところにも大沢分岐があるのか、と思って地図(山と高原地図)を見ました。実はすでに何度も見ているのですが、道は記されていません。付近の峰や谷の地形を見たいところですが、濃い霧で何も見えません。

このとき、私の脳の中では、梅ノ木尾根上の有名な大沢分岐から大沢に至る道と、今自分が立っている大沢分岐から大沢に至る道とが2本並列に存在しているイメージがありました。この日ここに至るまで、多くの作業道を見てきて、このあたりは作業道が多いのだなあ、という印象を受けていたからかも知れません。本当は大沢に至る道は並列ではなく、直列だったのです。ここで左折すべきところを、私は誤って直進してしまいました。電子国土地図には、ここで左折して、もう一つの大沢分岐に通じる道がはっきりと示されていますが、迂闊にも持ってこなかったのです。

段落見出し 893mに戻る

さて、間違った尾根に踏み込んだ私ですが、その先も尾根上にずっと踏み跡がありました。赤いテープも頻繁に見られます。テープの種類と巻き方から見て、これは営林関係者のテープではなく、登山者のものです。尾根の伸びる方向は、東南東で、これは間違っていません。ただその踏み跡には、あまり歩かれたような形跡がないのが少し気にかかりました。

正しい道ならしばらく進むと、778m峰があるはずですが、峰らしきものが全く見えてきません。そもそも霧に包まれて視界は数十メートルほどしかありません。そうこうしているうちに、尾根が終わってしまいました。やはり道を間違えたのです。流れのない沢に降り立ちました。この沢を少し偵察してみようと下ってみると、すぐに滝に行き当たりました。水はありませんが、降りることはできません。見ると右岸に高巻きする踏み跡があります。これを登って行くと、猪鹿防止用かと思われる柵がありました。

さて、もし進むとしたら、柵に沿って進むしかありません。しかしその柵は登山者の都合とは関係なく設置されているようです。もう踏み跡をたどることも、地図とコンパスを頼りに進むことも難しくなりました。893m点から始まったミニアドベンチャーは、ここで打ち切り。遅ればせながら、引き返すことに決めます。見知らぬ谷に深入りは禁物です。引き返す体力と気力とが十分に残っているうちに引き返さねばなりません。それでも893m点から既に1時間も間違った道を下りてしまったのでした。

戻ると決めたら足が速く動きました。それに登りでは靴がスリップしにくいのです。1時間降りた区間を、50分で戻ることができました。滑りやすい道では、登りの方が速いことがよくあります。午後3時53分、893m点で跨いで越えたロープが再び見えたときは、さすがにほっとしました。あたりはかなり暗くなっています。山では日が暮れるのが早い上に、雨模様の天気だからです。この先は安全第一で、不動尻に下ることにしました。

段落見出し 不動尻へ

唐沢峠に再びやって来ました。先にここを発ってから2時間半が経過しています。再び東屋で休憩し、チョコレートを口に入れます。道標には不動尻まで2.2Kmとあり、もう遠い道ではありません。午後に明るく咲いていたマメザクラは今、霧の中にほの白く、静かに山に溶け込んでいます。私はその桜の幹をぽんぽんとたたいて、不動尻への分岐を目指して登って行きました。

さて、その分岐から下り始めたとき、右ひざに異変を感じました。膝のすぐ下、外側の腱がじわっと痛むのです。先ほど間違えて下った尾根で、何度かスリップしそうになりましたが、転倒を防ごうとして、不自然な姿勢で体を支えた時に腱を傷めてしまったようです。右ひざを曲げると特に痛むので、右脚はなるべく伸ばしたまま、主に左ひざのバネを使って下って行きました。スピードはかなり落ちましたが、何とか歩けます。こんな場所でこんな時間に動けなくなったらアウトです。悪いことに携帯電話は電池切れになっていました。

雨が本降りになってきたので、折りたたみ傘をさしました。下って行くに連れ、三峰山から流れ落ちる沢の音が、下の方から次第に大きく響いてきます。そして三峰山からの登山道を左から合わせ、林道に降り立ちました。やれやれ、一安心です。こうして、縦走路から不動尻まで2Kmの道を下るのに、70分もかかりました。幸いここから先はほぼ平坦な林道なので、痛みを感じることなく歩けます。長い山神トンネルでは、安心のためヘッドランプを点けて歩きました。

広沢寺温泉が近づいた頃、背後から来た車が私の横で止まりました。「ヒルにやられませんでしたか?」と尋ねられます。「えっ、もしかして…」と、ズボンの裾と靴下とをめくってみましたが、両足とも大丈夫でした。この人は、先ほどトンネルの手前のゲートの近くを歩いていたら、おびただしい数のヒルがやって来て長靴に取り付いてきたとのことです。「カッコ悪いけれども、長い靴下を履いて、その中にズボンの裾を入れるといいですよ」と言ってくれました。

段落見出し 満足のバス停

午後6時50分、広沢寺温泉入口バス停に到着。あたりはすっかり真っ暗になっていました。屋根つき、ベンチつきのバス停に腰を下ろし、残ったヨモギ餅を食べます。さて、次は25,000分の1地図を忘れずに持って、梅ノ木尾根をしっかり歩こう、携帯電話は前日にしっかり充電しておこう、単独行は一つ間違えば遭難と背中合わせだなあ、それにしてもきょうはいい日だったな、などと考えています。こうしてまた丹沢の思い出が一つ増え、満たされた思いでバスを待ちました。

木の葉ライン

↓ 紙芝居

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