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築瀬尾根・境界尾根

築瀬尾根の伐採地

築瀬尾根の伐採地

築瀬(つくぜ)尾根は、日の出山の北東、高峰(755m)から583m峰に延びる尾根です。その583m峰からは、いくつかの支尾根に分かれ、多摩川とその支流に至ります。

ここで言う境界尾根は、大塚山の北東、846m点から多摩川に向かって延びる尾根です。青梅市と奥多摩町の境界が引かれています。

地図 地理院地図: 築瀬尾根 高峰 , 境界尾根 846m点

天気 築瀬尾根の天気: 青梅市 , 奥多摩町 , 御嶽駅 , 御岳山駅


コース & タイム 鉄道駅 軍畑駅 7:52 --- 8:50 築瀬尾根取り付き 8:57 --- 9:22 < 伐採地 > 9:40 --- 10:04 高峰 10:11 --- 10:52 日の出山 11:06 --- 12:18 御岳山 12:25 --- < ロックガーデン > --- 13:41 綾広の滝 13:42 --- 14:31 神代ケヤキ 14:31 --- 15:13 大塚山 15:23 --- 15:30 ケーブル駅分岐 15:40 --- 15:45 境界尾根分岐(赤帽黒杭)15:47 --- 16:32 583m峰 16:33 --- 17:22 境界尾根終点 17:22 --- 17:47 御嶽駅 鉄道駅
※歩行時間には花探しと写真撮影の時間が多く含まれています。
高峰・日の出山・大塚山 たかみね:標高 755m、ひのでやま:標高 902m、おおつかやま:標高 920m
単独  2015.7.11 全 9時間55分 満足度:❀❀❀ ホネオレ度:❢❢

7月11日、梅雨明けを錯覚させるように晴れた真夏日、奥多摩の御岳山(みたけさん)ロックガーデンに行ってきました。目当ては、ギンバイソウやバイカツツジなどの花を訪ねること。御岳山は人気の山なので、静かなルートを歩こうと思い、まだ歩いたことのなかった築瀬尾根を登り、境界尾根を下りました。

段落見出し軍畑駅から岨端沢林道へ

青梅線を軍畑駅で下車。右に萱葺きの家を見ながら、駅のすぐ南側の青梅街道に下ります。目の前の大きな橋は「軍畑大橋」。渡るのは初めてです。緑の深い山々と、その谷間を流れる多摩川。見渡す気分は、爽快そのもの。「また奥多摩にやって来たぞ!」上流のかなたには御岳山が見えています。そこが今日の折り返し点ですが、すごく遠いように思いました。「まあ、千里の道も一歩から」と、こんな場合にはいつも自分に言い聞かせます。

吉野街道に入り、西に6~7分ほど歩くと、左手に上って行く舗装道路が分岐しました。これが地図に名が記された岨端沢(そばさわ)林道でしょうか。とりあえず登って行くと、右手に道標があり、正解!最初の課題をクリアしました。黄色いクサノオウ、ピンクのヌスビトハギなどの花、真っ赤に熟れたナワシロイチゴの実などがあって、林道歩きも退屈しません。かなり傾斜があるので、知らず知らず標高を稼いでいるようです。

一般車両立ち入り禁止のゲートを越えると、林道は地形沿いに曲がりくねりながら、どんどん標高を上げて行きます。強い真夏の陽射しの下、キウイフルーツみたいなサルナシの実がたくさん実っていました。これ、誰が食べるのでしょうか? 道端ではヤマハッカやオカトラノオの花に蝶たちが来ていました。蜜に夢中になっているのか、容易に接近することができます。特にオカトラノオはたくさんの蝶を集めていました。(「キウイフルーツみたいな(毛のある)サルナシ」はない。)

段落見出し歩き易い山道と、明るい伐採地

岨端沢林道を40分ほど歩いた頃、左手に「ヘリコプター緊急離着陸場」があり、林道のカーブに本格的な道標が立っていました。「築瀬尾根経由、日の出山・御岳山」と書かれた腕木が、右手のコンクリート階段を指しています。暑いので、築瀬尾根に取り付く前に小休止して、家で凍らせてきた緑茶を飲みました。ランナーが一人、林道を走って行きます。私はリュックを背負い直して、ウォーキングモードから登山モードに移行。築瀬尾根に取り付くと、植林の中に極めて明瞭な山道が続いていました。

鉄塔27号の下は、ススキが生い茂っていました。葉の縁で腕を切らないように、バンザイをして通り抜けます。引き続き杉・檜の林を登って行くと、南面が明るく開けました。ここは伐採地で、築瀬尾根のハイライトと言っていいかもしれません。一本南の尾根上には、無線塔や送電鉄塔が望めます。この伐採地はかなり大きく、約10分間、歩きながら展望を楽しめました。途中にベンチが二つあり、暑くない日には絶好の休憩地になると思います。

ところで、この伐採地には立看板があり、「柚木の山(築瀬尾根):植樹祭、花粉対策事業:平成25年5月12日」と書かれていました。どんな苗木が植えられたのか興味がありますが、2年以上経過しているにしては、あまり若木が見当たりません。むしろ目立つのは先駆植物のタケニグサ。日の当たる場所を好むようで、伐採地を席巻しそうな勢いで繁殖していました。

段落見出し高峰と日の出山

再び樹林帯に入ると、右手の北斜面が広葉樹林になりました。これまで南に見えていた尾根が左から近づいてきます。一登りで築瀬尾根と合わさりました。出合点に道標があり、南の尾根は「日の出山・吉野梅郷コース」。ここから先は、地図にも示されている普通の登山道です。相変らず植林帯ですが、オオバギボウシ、ナガバノコウヤボウキなどの花が咲いていました。トゲに気をつけながら、みずみずしいナワシロイチゴの実も20個以上採って食べました。

伐採地から24分ほどで高峰に到着。展望はなく、高度感を全く得られませんが、遠くからは高く見えるのでしょうか。空腹感だけは高まったので、ここで一回目の昼食にしました。でも先が長いので早食いし、そそくさと腰を上げます。引き続き西へ進んで行くと、左手から幅広の道が近づいてきました。高峰を巻く道のようです。これより先、ノリウツギがたくさん見られるようになりました。装飾花がピーンと上を向いて咲いているものと、うな垂れて下向きに咲いているものとがあります。私はどっちかな?

日の出山の手前、登山道の傾斜がかなりあったにもかかわらず、トレイルランナーが駆け登って行きました。すごい! でも後続の女性ランナーは、男性に付いて行けないようでした。私は左右の植物を物色しながら、自分のペースを守って歩いています。そして明るく、暑く、急勾配の階段を登り詰めると、日の出山の山頂に立ちました。先客は15人ほどで、晴天の土曜日にしては少なめでしょうか。たくさんのアキアカネが、山頂の空を飛び交っていました。

日の出山は好展望で知られますが、関東平野には靄がかかって、遠望は利きませんでした。でも鷹ノ巣山、大岳山、麻生山など、おなじみの山々が見えるだけでも嬉しいものです。「また来たよ~!」という気分。朝の軍畑大橋から、はるか彼方に見えた御岳山と奥の院も、今は遠くありません。私は山頂に一つだけある東屋に相席で座らせてもらい、水分補給をしました。

段落見出し御岳山へ

日の出山から御岳山にかけては、「関東ふれあいの道」で、幅広の歩き易い道になります。この区間、前から次々と人がやって来て、「こんにちは」の連発でした。やがて「武蔵御嶽神社」の鳥居や山上菜園、墓地などがあり、人里の雰囲気が徐々に濃くなります。御岳山集落の手前には、ミツバフウロやキツリフネが咲いていましたが、自然のものか、持ち込まれたものか分かりません。集落に入ると、下町風情の民家が現れ、毎度ながら「ニルスのふしぎな旅」みたいな気分になりました。

巨大な神代ケヤキは健在。土産店の立ち並ぶ門前町に入ると、小さな植え込みにギンバイソウが咲いていました。これならロックガーデンも期待できそうです。レンゲショウマの様子も見たかったので、御嶽神社に行きました。あまり行ったことのない山頂まで登り詰めます。すると、まん丸な黄緑色の玉を、たくさん吊るしたレンゲショウマが植わっていました。花のつぼみなのですが、果実のように見えます。あと半月かひと月くらいで見頃になるでしょうか。

山頂には、御影石でできた立派な山頂標があることに、今回初めて気付きました。御岳山や高尾山は、山頂の最高点を踏まない人も多くいます。浅間山のように、火口縁の山頂に立ち入れない山もありますが、富士山はどうでしょうか。私は山頂を辞すと、長尾平への近道とされる小径を下りて、ロックガーデンに向かいました。

段落見出しロックガーデン

長尾平から七代の滝に行く道もありますが、今回は省エネのため、天狗岩に直行しました。その先を少し下りたところの沢がロックガーデンです。さっそくギンバイソウが咲いていました。キンシバイを真っ白にして、少しおしゃれを施したような花です。まだ一つの花序に1~2輪が咲き始めたばかり。その初々しさに目が洗われます。大株もあって、これから次々と咲きそろうことでしょう。一眼レフを携えた人もたくさん来ていましたが…花の横をただ通り過ぎるばかり。

私は遊歩道の半ばまで歩き、岩の上にリュックを置いて休憩しました。この沢は養沢川の源流の一つです。水に手を浸すと冷たく、とてもいい気分。思い切り顔と手を洗いました。ここで取ったきょう二回目の昼食は、文句なしに最高の味。流れる水が奏でる音は、最上の音楽。でも、そこは絵になる場所だったので、私も何人かのカメラに写されたようです。

綾広の滝の手前にも、ギンバイソウの群落があります。こちらはちらほら咲きでしたが、たくさんのつぼみがあって、あと数日で花盛りになるだろうと思いました。綾広の滝を左から巻くようにして登って行くと、長尾平と芥場峠に通じる道に出ます。この道を長尾平方向に進むと、バイカツツジがほんの僅かに咲いていました。大人の親指の爪ほどの大きさの、可愛らしい花です。

段落見出し大塚山から、境界尾根を下る

天狗の腰掛杉を経て、再び長尾平。そして山上集落を通り抜けて大塚山に向かいます。表参道への分岐を過ぎると、人の姿がなくなりました。富士峰園地から大塚山に向かう道にもバイカツツジがありましたが、落ちた花を1輪見ただけでした。その先、ヒメシャラの木を見上げましたが、すでに花は全部終ってしまったようでした。そして誰もいない大塚山に到着。下山に備えて三回目の昼食を取り、まだ冷たかった緑茶をゆっくりと飲みます。WEBから印刷してきた、境界尾根周辺の地形図を取り出しました。

大塚山から丹三郎方向に下り、ケーブル駅への道を右に分けます。地形図を見ると、846m点で音叉のように2本の尾根道が分かれるように記されていますが、歩いた距離感から判断し、道わきの赤帽黒杭から右の尾根に下りました。他に目印のない真っ直ぐな道からいきなり右に下るので、少し不安はありましたが、尾根はここしかありません。いきなり急下降します。ジグザグ道はないので、足を滑らせるとコロコロ直滑降になりかねません。立ち木の助けも借りながら慎重に下りて行きました。

その後、地形図から予想のできる範囲の急な下りや緩やかな下りが、幾たびか現れました。幸い、尾根上の踏み跡は、まずまずはっきりと認められます。青梅市基準点 No.33を見るに至って、道迷いの危惧は霧消しました。赤帽黒杭が再び現れ、その後は頻繁に出現。いつしかバイクや車の走る音、犬の鳴声などが聞こえるようになっていました。まだまだ急傾斜があり、緊張を強いられます。

ついに右手下方の樹木を透かして、緑地が見えてきました。やれやれです。最後に墓地の横を通り抜けると人里が見えました。通り道に張られたネットを外して通過し、またネットを閉じます。そこは民家の私有地のようなので、もし人が見えたら挨拶するのがいいと思います。こうして、朝歩いた吉野街道に再び下り立ちました。

段落見出し御嶽駅へ

大鳥居の手前から、コンクリート道を多摩川に下りました。神路橋(かみじばし)という名の吊橋を渡ります。橋の上から多摩川を眺めると、左岸の遊歩道に沿って色とりどりの紫陽花が見えました。実は、今回下山路として境界尾根を選んだ理由の一つは、この遊歩道を歩きたかったからです。小さいけれども、川原の砂浜も魅力の一つ。もう少し早い時間だったら、靴と靴下を脱いで、水ぎわでじゃぶじゃぶ、砂利の上を歩いて、疲れた足を癒そうと思っていました。

最後はカヤックの練習場から青梅街道に上がり、御嶽駅にゴールインしました。私にとっては苦しい思い出もある御嶽駅ですが、きょうは築瀬尾根の展望、花や虫との出遭い、境界尾根でのプチ冒険などあって、十分に心を満たされての到着です。長い一日になりましたが、いつものように無事に下山できて感謝です。

きょう歩いてみた限りでは、築瀬尾根はハイキングコースとして何ら問題ないと思いました。コース中に変化もあって、少なくとも日の出山北尾根よりは魅力的だと思います。境界尾根は、急傾斜があり、斜面の状態によっては下るよりも登る方が、所要時間が少なくて済むかも知れません。上部では赤帽黒杭のない区間が長く、特に下降開始点の判断には地形図が必須です。いずれの尾根も、どこまで私有地が含まれているか分かりませんが、もっと花の咲く時には歩いてもいいかな、と思います。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



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